2023.06.15
がんの予後予測について
#院長ブログ

がんの患者さんに「予後(寿命)は◯◯ヶ月程度です」と告知されることがありますが、この告知の予後期間は妥当性がない(ほとんど的中することがない)と言われています。その中で、予後予測を行うためのツールとして、①PaP スコア(Palliative Prognosis Score)と②PPI(Palliative Prognostic Index)の2つは妥当であると言われています。
PaPスコア・PPIスコアともに専門知識を要しますが、PPIスコアは「体動量」「食事量」「浮腫」「呼吸困難」「せん妄」で判断するため、誰が見てもわかる「体動量」「食事量」に注目して極めて単純化すれば統計上は、
「ほとんど動けず、ほとんど食べられなくなれば、予後は週単位(3週間以内)です」
と表現できると思います。3週間以内となれば「会わせたい人にはできるだけ早く会わせてください」などと伝えることも可能だと思います。
がんは急に命を奪われる心筋梗塞や脳梗塞とは異なり、見方によっては「時間が残された病気である」と考えることもできます。上記の予後の考え方を知っておくと、患者さんご本人、ご家族など周囲の方々も残された時間を有効に過ごす助けになるのではないかなと考えます。