2023.07.06
アルツハイマー型認知症の自然経過
#院長ブログ

認知症の介護には非常に困難が伴います。
その中で、認知症の中で最も多いアルツハイマー型認知症の経過についてはある程度経過が予測されています。
一言で言うと、アルツハイマー型認知症は「緩やかなスロープを下るように進行し、発症後平均10年で死に至る病気」です。
平均的なアルツハイマー型認知症の経過は次のとおりです。
①初めに患者自身が自分に起こっている以上に気づく
②最も身近な家族が患者の異常に気づく(発症後約1年)
③医療機関を受診する(発症後約2年)
④軽度(数分前〜数日前の近時記憶の障害が主体)の時期が2〜3年続く
⑤中等度(身の回りのことが徐々にできなくなり介護の山場となる)の時期が4〜5年続く
⑥発症後7年くらいで重度となり、排泄の問題など(身体症状)が出現し、肺炎などの感染症や骨折などの頻度が増加する
⑦歩行障害が出現し、最期の半年〜2年は寝たきりで過ごす
⑧最終的には嚥下(飲み込み)が極度に低下し,末期となる.この段階で無治療であれば1〜2週間,末梢点滴だけを行うと1〜3ヶ月,胃ろうなどの経管栄養を行なっても半年〜1年で死に至る(無治療・末梢点滴:苦痛少ない、胃ろう:苦痛大)
以上が平均的なアルツハイマー型認知症の経過です。
いつまで続くかわからない苦労は非常に困難感を伴いますが、上記を参考に「あと何年かがんばればいい」と考えられれば困難感は軽減するのではないかと思われます。
どうぞご参考ください。
※参考文献:
医療と看護の質を向上させる 認知症ステージアプローチ(中央法規)
認知症の方の在宅診療(南山堂)